プロ野球の打撃成績を見ていると、
「3割を打っているのに打率ランキングに名前がない」
という選手がいることがあります。
故障から復帰して絶好調の選手などで、よく起こるケースです。
これは多くの場合、その選手が「規定打席」に到達していないためです。
では規定打席とは、いったい何打席なのでしょうか。
また、
「シーズン途中の規定打席はどう計算する?」
「四球も規定打席に含まれる?」
「規定打席に足りなくても首位打者になれる?」
など、少し分かりにくい部分もあります。
プロ野球の個人成績を見るうえで覚えておきたい「規定打席」について整理します。
規定打席とは?
規定打席とは、打率などのランキングの対象になるために必要な打席数のことです。
プロ野球では、数試合だけ出場して大活躍した選手と、シーズンを通して試合に出続けた選手をそのまま比較するわけにはいきません。
たとえば、
10打数4安打なら打率.400。
500打数150安打なら打率.300です。
数字だけなら前者が上ですが、10打数だけの選手を「リーグ最高打率」とするのは違和感がありますよね。
そこで一定以上の打席に立った選手を対象にして打率などを比較します。
その基準となるのが規定打席です。
プロ野球の規定打席は何打席?
NPBでは、基本的に
所属チームの試合数×3.1
で規定打席を計算します。
端数は四捨五入します。
現在の一軍公式戦は1球団143試合なので、
143×3.1=443.3
となります。
したがって、シーズン終了時の規定打席は443打席です。
「規定打席=443」
という数字を見たことがある人も多いのではないでしょうか。
シーズン途中にも規定打席はある
443打席というのは、143試合をすべて終えた場合の数字です。
シーズン途中なら必要な打席数も変わります。
たとえばチームが100試合を消化した時点なら、
100×3.1=310
なので、この時点での規定打席は310打席です。
120試合なら、
120×3.1=372
となります。
そのため、シーズン途中に「規定打席到達」と報じられても、その後ずっと規定打席を満たし続けるとは限りません。
選手が欠場している間にもチームの試合は進むからです。
一度規定打席に到達しても外れることがある
ここは少し分かりにくいところです。
たとえば100試合終了時点で310打席に立っていれば、その時点では規定打席に到達しています。
しかし、その選手が故障して何試合か欠場するとどうでしょう。
チームが110試合まで進めば、
110×3.1=341
が新しい基準になります。
本人の打席数が310のままなら、規定打席に足りなくなります。
つまり規定打席は、
一度到達したらシーズン終了まで有効
というものではありません。
シーズン中はチームの消化試合数に合わせて必要な打席数も増えていきます。
「打数」ではなく「打席」なのがポイント
規定「打席」という名前の通り、基準になるのは打数ではなく打席です。
この2つは同じではありません。
打者が打席に立っても、
- 四球
- 死球
- 犠打
- 犠飛
などでは、打数に数えられないことがあります。
しかし打席には記録されます。
そのため、443打数が必要なのではなく、443打席が必要です。
四球の多い打者でも、その分が無駄になるわけではありません。
代打でも打席は増える?
もちろん増えます。
規定打席はスタメン出場だけで計算するわけではありません。
代打で1度だけ打席に立った場合も1打席です。
逆に守備固めや代走だけで出場して、打席に立たなければ打席数は増えません。
そのため「試合出場数が多い=規定打席に到達している」とも限りません。
規定打席に到達していないと首位打者にはなれない?
基本的には、規定打席に達した選手が打率ランキングの対象になります。
しかし、ここには面白い例外があります。
規定打席に足りない選手でも、一定の条件を満たせば首位打者になる可能性があります。
ポイントは、
不足している打席をすべて打数に加えて凡退したものとして計算する
ことです。
少し分かりにくいので例を見てみましょう。
規定打席が443だったとして、ある選手が、
430打席
400打数
130安打
だったとします。
実際の打率は、
130÷400=.325
です。
しかし規定打席まで13打席足りません。
そこで不足する13打席をすべて「打数」として追加します。
413打数130安打として計算すると、
打率は約.315になります。
この.315が規定打席到達者の最高打率を上回っていれば、この選手が首位打者として扱われる可能性があります。
なぜそんな特例がある?
故障などによってわずかに規定打席へ届かなかっただけで、圧倒的な成績を残した選手がタイトル争いから完全に除外されるのを防ぐためです。
ただし、不足分はすべて凡退として計算されます。
そのため、規定打席から大幅に不足している選手がこの方法で首位打者になるのは簡単ではありません。
あくまで、
「足りない打席を全部凡退扱いにしても、それでも打率1位」
というほど高い打率を残している必要があります。
規定打席未満の「4割打者」がランキングにいない理由
シーズン序盤には、
「打率.400の選手がいるのにランキングに載っていない」
ということも珍しくありません。
故障から復帰したばかりだったり、シーズン途中から一軍へ昇格した選手だったりすると、打率が高くても打席数が足りないからです。
逆に打率.280でも、十分な打席数に到達していればランキングには掲載されます。
打率ランキングを見るときは、
打率だけでなく規定打席に到達しているか
を見ることも大切です。
「あと何打席で規定打席?」の考え方
シーズン終盤になると、故障から復帰した選手などについて、
「規定打席に間に合うか?」
が話題になることがあります。
たとえば残り10試合で、規定打席まで40打席必要だったとします。
単純計算なら、
40÷10=4
なので、1試合平均4打席必要です。
毎試合スタメンなら十分狙えそうな数字です。
一方、残り10試合で60打席不足していれば、平均6打席が必要になります。
毎試合かなり打線が回らないと難しいでしょう。
このように、
不足打席数÷残り試合数
を計算すると、規定打席到達の現実味がある程度分かります。
シーズン終盤は「規定打席」にも注目
優勝争いが注目されるシーズン終盤ですが、個人成績を見るなら規定打席も面白いポイントです。
故障から復帰した好打者が、
「首位打者争いに間に合うのか」
「規定打席まであと何打席なのか」
を追いかける楽しみがあります。
覚えておきたいのは、
規定打席=チーム試合数×3.1
ということ。
143試合制ならシーズン終了時は443打席です。
そして、規定打席にわずかに届かなかったからといって、必ずしも首位打者の可能性がゼロになるわけではありません。
打率ランキングを見るときに「打席数」にも注目すると、数字を見る楽しみが一つ増えると思います。


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