プロ野球のFAとは?何年で取得?国内FA・海外FAの違いや宣言後の流れを解説

シーズンが終わるころになると、プロ野球では毎年のように「FA」という言葉がニュースに登場します。

「○○選手が国内FA権を取得」
「FA権を行使するか熟考」
「残留を基本線に交渉」

といったニュースです。

なんとなく「好きな球団へ移籍できる制度」というイメージはあっても、実際の仕組みは意外と複雑です。

何年一軍にいればFAになれるのか。

国内FAと海外FAは何が違うのか。

FA権を取ったら必ず移籍するのか。

今回はプロ野球のFAについて、ニュースを見るときに知っておきたいポイントを整理します。

FAとは?

FAは「フリーエージェント(Free Agent)」の略です。

一定の条件を満たした選手に認められる権利で、FA権を行使すると、所属球団だけでなく他球団とも翌シーズン以降の契約について交渉できるようになります。

日本のプロ野球では、選手がドラフトで指名されたからといって、数年後に自由に好きな球団へ移籍できるわけではありません。

そこで長期間プレーした選手に、自分で所属先を選択する機会を与える仕組みの一つがFA制度です。

FAには「国内FA」と「海外FA」がある

プロ野球のFAには大きく分けて、

国内FA
海外FA

があります。

名前からある程度想像できますが、交渉できる範囲が違います。

国内FA権を行使した場合は、NPBの他球団を含めた国内での移籍が可能になります。

海外FA権を行使すれば、国内だけでなく海外球団との契約も可能になります。

メジャーリーグ挑戦を目指す選手のニュースで「海外FA権を行使」という言葉を見かけるのはこのためです。

国内FA権は何年で取得できる?

ここでポイントになるのが「一軍登録日数」です。

単純に、

「プロ入りから○年経過した」

だけで決まるわけではありません。

FA権取得のための1シーズンは、一軍の出場選手登録日数が145日に達すると1年として計算されるのが基本です。

145日に満たないシーズンについても、一定のルールに従って登録日数が合算されます。

そのため同じ年のドラフトで入団した選手でも、FA権を取得するタイミングが違うことがあります。

高卒と大卒・社会人では国内FA取得までが違う

国内FA権は、必要となる年数が選手によって異なります。

基本的には、

高校卒業後に入団した選手は8シーズン

大学・社会人などを経て入団した選手は7シーズン

の一軍登録日数が国内FA権取得の目安になります。

ここでいう「シーズン」は、先ほどの一軍登録日数を基準にしたFA資格上の年数です。

つまり高卒で入団して8年たてば無条件に取得、という意味ではありません。

二軍で過ごした期間が長ければ、取得までさらに時間がかかることがあります。

海外FA権は何年?

海外FA権については、原則として一軍登録日数が9シーズンに達することが基準となります。

国内FAよりも取得まで長くかかります。

そのため20代前半から一軍で活躍し続けた選手でも、海外FA権を取得するころには30歳前後になっていることがあります。

日本のトップ選手がもっと早い年齢でメジャーリーグへ移籍する場合によく使われるのが、FAとは別の「ポスティングシステム」です。

FAとポスティングは何が違う?

ここは混同しやすいところです。

FAは、条件を満たした選手が取得する権利です。

一方、ポスティングによる海外移籍には所属球団の了承が必要になります。

つまり、

「海外FA権を持っている選手が海外FAで移籍する」

のと、

「まだ海外FA権を持っていない選手が球団の了承を得てポスティングで海外へ移籍する」

のは別の仕組みです。

若いうちにメジャー挑戦を希望する選手の場合、海外FA取得まで待たずにポスティングを希望することがあります。

FA権を取得したら自動的にFAになる?

なりません。

FA権を取得しただけでは、他球団と自由に契約交渉を始めるわけではありません。

選手自身がFA権を「行使」する必要があります。

そのためニュースでも、

「FA権を取得した」

と、

「FA権を行使した」

は意味が違います。

取得したものの行使せず、そのまま所属球団に残る選手もたくさんいます。

FA権を使わず残留することもある

FA権を取得すると、

「この選手は移籍するのでは?」

と注目されます。

しかしFA権を持っているからといって、移籍を希望しているとは限りません。

所属球団との交渉の結果、そのまま残留することもあります。

また、FA権を行使したうえで所属球団と再契約する、いわゆる「FA宣言残留」という形もあります。

FAはあくまで選手に選択肢を与える制度です。

「FA=退団」ではありません。

FA宣言したら元の球団とは契約できない?

そんなことはありません。

FA権を行使した選手が、結果として元の所属球団に残ることもあります。

他球団の話を聞いたうえで、

やはり現在の球団でプレーしたい

と判断することもあります。

ただし球団側の方針もあるため、FA宣言後の残留をどのように扱うかは契約交渉の中で決まります。

FA選手を獲得すると必ず人的補償が必要?

必ずではありません。

FA移籍のニュースでよく出てくるのが「人的補償」です。

ただし、FAで選手を獲得したら必ず元球団へ選手を渡すわけではありません。

選手は旧年俸などを基準としてランク分けされ、その区分によって補償の有無や内容が変わります。

そのため、

FA移籍=人的補償

と覚えてしまうと少し違います。

人的補償については制度がやや複雑なので、別の記事で詳しく取り上げたいところです。

FAの「Aランク」「Bランク」「Cランク」とは?

FA関連の記事で、

「Aランクの選手」
「Bランクなので人的補償の可能性」
「Cランクなので補償不要」

といった表現を見ることがあります。

これは単純に選手の実力をA・B・Cで評価しているわけではありません。

基本的には所属球団内での年俸順位をもとにした区分です。

そのため、

「Cランクだから成績が悪い」

という意味ではありません。

FA市場では、補償の負担がない選手が他球団から注目を集めることもあります。

FAでどこの球団とも契約できる?

国内FA権を行使した場合は、NPB球団との契約交渉が可能になります。

海外FAなら海外球団も選択肢になります。

もちろん「自由に交渉できる」と「必ず契約できる」は別です。

選手側が移籍を希望していても、獲得を希望する球団がなければ契約は成立しません。

逆に複数球団が獲得に乗り出し、条件を比較して移籍先を決めることもあります。

FA移籍では年俸だけで決めるの?

年俸は大きな要素ですが、それだけとは限りません。

選手によって重視するものは違います。

出場機会
契約年数
チームの優勝可能性
起用方法
球場
家族の生活環境
以前一緒だった監督やコーチの存在

など、さまざまな条件が判断材料になります。

そのため、最も高い金額を提示した球団が必ず獲得できるわけではありません。

FA権を取った選手が注目される理由

FA権を取得するには、長い期間一軍で登録され続ける必要があります。

つまりFA権を持つ選手の多くは、それだけ長期間プロの一軍で生き残ってきた選手です。

レギュラークラスの選手がFA市場に出れば、翌年の戦力図が大きく変わることがあります。

中心打者がライバル球団へ移籍。

先発ローテーションの投手が移籍。

正捕手が別リーグへ移籍。

一人のFA移籍が複数球団の編成に影響することも珍しくありません。

シーズン終盤からFAのニュースが増える

シーズン終盤になると、

「今季中に国内FA権を取得見込み」

といった報道が増えてきます。

そしてシーズン終了後には、

権利を行使するのか
残留するのか
どの球団が獲得に動くのか

がストーブリーグの大きな話題になります。

ドラフト、戦力外通告、FA、外国人選手の獲得などが重なるこの時期は、試合がなくても各球団の戦力が大きく動きます。

FAは「何年所属したか」だけ見ないのがポイント

FAについて一番勘違いしやすいのは、

「入団して7年だから今年FA」

という考え方です。

実際には一軍登録日数が重要になります。

ケガで長期間離脱した。

二軍で過ごす期間が長かった。

シーズン途中から一軍へ定着した。

こうした違いによって、同じ入団年の選手でもFA取得時期は変わります。

FA関連のニュースを見るときは、

プロ何年目なのかではなく、FA権取得に必要な一軍登録日数を満たしたのか

を見ると理解しやすくなります。

シーズン終了後に「FA権行使」というニュースが出てきたら、移籍するかどうかだけでなく、

国内FAなのか海外FAなのか。

FA権を取得したばかりなのか。

すでに権利を持っていたのか。

補償が発生する選手なのか。

といったところにも注目してみてください。

オフシーズンのプロ野球が、かなり分かりやすくなるはずです。

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