プロ野球もシーズン終盤になると、「消化試合」という言葉を耳にするようになります。
「優勝が決まったので残りは消化試合」
「CS進出の可能性がなくなり消化試合に入った」
といった使われ方です。
なんとなく「もう重要ではない試合」という意味なのは分かりますが、それなら少し疑問も残ります。
順位が決まっているのに、なぜ残りの試合をやるのでしょうか。
そして消化試合になると、本当に勝敗はどうでもよくなるのでしょうか。
シーズン終盤ならではの「消化試合」について考えてみます。
消化試合とは?
消化試合という言葉に厳密な一つの定義があるわけではありませんが、一般的には、その試合の勝敗が優勝や順位争いなどに大きな影響を与えなくなった試合を指します。
たとえば残り5試合の時点で優勝が決定。
2位以下との順位が入れ替わることもない。
この場合、優勝チームにとって残りの試合は消化試合と呼ばれることがあります。
反対に最下位のチームでも、まだ順位が上がる可能性が残っていれば、必ずしも消化試合とは言い切れません。
優勝が決まったら全部消化試合?
ここが少しややこしいところです。
優勝が決まっても、すべての意味がなくなるわけではありません。
セ・リーグ、パ・リーグともにレギュラーシーズン後にはクライマックスシリーズがあります。
優勝チームなら、その先の戦いに向けた準備期間という意味が出てきます。
さらに対戦相手が、
CS進出争いの真っ最中
ということもあります。
自分たちにとって順位に影響しなくても、相手にとっては絶対に負けられない試合かもしれません。
「消化試合」というのは、どのチームの立場から見るかによっても変わります。
順位が決まっているのになぜ試合をするの?
「もう順位が変わらないなら、残りの試合は中止でもいいのでは?」
と思うかもしれません。
しかしレギュラーシーズンの公式戦は、最初から定められた日程に基づいて行われています。
順位が決まったからといって、そこでシーズン終了にはなりません。
そして残り試合には、順位争い以外にもたくさんの意味があります。
個人タイトル争いは続いている
チーム順位が確定していても、選手の個人成績は最後の試合まで積み上がります。
たとえば、
首位打者
最多本塁打
最多打点
最多安打
最多盗塁
最多勝利
最優秀防御率
最多奪三振
などです。
チームはすでに優勝していても、
「あと1本打てば本塁打トップ」
という選手がいるかもしれません。
こうなると、その選手にとってはまったく消化試合ではありません。
シーズン最終戦まで個人タイトルが決まらないこともあります。
記録達成がかかった選手もいる
タイトル以外にも、
シーズン100安打
20本塁打
100打点
10勝
規定打席到達
規定投球回到達
など、選手にとって節目となる数字があります。
特に規定打席や規定投球回までわずかという選手にとって、残り数試合は重要です。
ファンにとっても、
「あと2本で通算2000安打」
のような大記録がかかっていれば、順位とは関係なく注目の試合になります。
消化試合で主力選手が休むのはなぜ?
シーズン終盤、順位が決まったチームのスタメンを見て、
「あれ?いつもの選手がいない」
と思うことがあります。
特にCS進出が決まっているチームでは、主力選手を休ませる場合があります。
プロ野球のレギュラーシーズンは長く、選手の体には疲労が蓄積しています。
順位が確定している状態で無理をさせて故障してしまえば、その後のCSや日本シリーズに影響します。
そのため、
疲労回復
軽い故障の治療
コンディション調整
などを目的に主力を休ませることがあります。
それって「手抜き」じゃないの?
主力を休ませると、そう感じる人もいるかもしれません。
特に対戦相手がCS争いをしている場合、
「こっちとの試合では主力だったのに、別のチームとの試合では若手中心なの?」
という不公平感が出ることもあります。
ただ、シーズン全体を考えて選手のコンディションを管理することもチーム運営の一部です。
すでに順位が確定しているチームにとっては、目の前の1勝だけでなく、その先のポストシーズンにベストな状態を作ることも重要になります。
若手選手にとっては大チャンス
消化試合の楽しみの一つが、若手選手の起用です。
順位争いの真っ最中では、どうしても実績のある選手を優先しやすくなります。
しかし順位が決まれば、普段なかなか一軍で使えない選手を試しやすくなります。
二軍で好成績を残していた若手を一軍へ昇格。
スタメンで数試合起用。
来季を見据えて新しい守備位置に挑戦。
こうした采配が増えてきます。
ファンにとっては、翌年ブレイクする選手を一足早く見つけられる時期でもあります。
ベテランの出場機会になることもある
若手だけではありません。
引退を発表した選手にとって、シーズン終盤の試合が最後の一軍出場になることがあります。
本拠地最終戦などで引退セレモニーが行われることもあります。
順位争いという意味では重要度が下がっていても、
長年応援してきた選手の最後の打席
となれば、ファンにとってはシーズンで最も大切な試合になるかもしれません。
来季に向けた「テスト」の場にもなる
監督やコーチにとっても残り試合は貴重です。
たとえば二軍で先発していた投手をリリーフで起用してみる。
内野手を別のポジションで使ってみる。
若手打者を上位打線に入れてみる。
シーズン中には試しにくかった起用を実戦で確認できます。
そこで結果を残せば、翌年の春季キャンプでの立場が変わる可能性もあります。
ファンから見れば「消化試合」でも、選手にとっては翌年の一軍入りを左右する試合なのです。
外国人選手が早めに帰国することも
シーズン終盤になると、外国人選手の帰国が発表されることがあります。
チームの順位が決まり、その選手を残り試合で起用する予定がなければ、シーズン終了を待たず帰国するケースもあります。
もちろん契約や故障など事情は選手ごとに違います。
そのため「帰国した=退団決定」とは限りません。
翌シーズンも契約する選手が一足早く帰国することもあります。
「順位が決まったチーム」対「絶対に負けられないチーム」
シーズン終盤で面白いのが、この組み合わせです。
Aチームはすでに順位確定。
BチームはCS進出をかけて残り3試合を戦っている。
Aチームにとっては消化試合と呼ばれても、Bチームにとってはシーズン最大級に重要な試合です。
しかもAチームが若手中心だから簡単に勝てるとは限りません。
一軍で結果を残したい若手は必死です。
プレッシャーの少ないチームが、絶対に負けられないチームを倒すこともあります。
終盤の順位争いでは、こうした試合が思わぬ結果を生むことがあります。
消化試合でも公式記録は同じ
当然ですが、消化試合だから記録の価値が変わるわけではありません。
ヒットを打てば1安打。
ホームランなら1本塁打。
投手が勝利投手になれば1勝。
すべてシーズンの公式記録に加算されます。
「順位が決まっているから参考記録」
になるわけではありません。
だから個人タイトルを争っている選手にとっては最後まで重要なのです。
観客にとっても消化試合とは限らない
順位が決まっていると、
「もう球場へ行っても面白くないかな」
と思う人もいるかもしれません。
しかし、この時期ならではの楽しみもあります。
初めて一軍に上がってきた若手。
タイトル争い。
引退する選手の最後の姿。
本拠地最終戦のセレモニー。
来季を見据えた新しい起用。
優勝争いとは違う見どころがあります。
特に普段二軍をチェックしているファンなら、
「ついにこの選手がスタメンか」
という楽しみも増えてきます。
本当の意味で「何もない試合」は意外と少ない
消化試合という言葉だけを見ると、
「もう結果に意味がない試合」
のように感じます。
しかし実際には、
個人タイトルを争う選手
来季の契約をかけてアピールする選手
一軍定着を狙う若手
ポストシーズンへ調整する主力
最後の試合を迎えるベテラン
と、それぞれ違う目的を持ってグラウンドに立っています。
チームの順位という大きな目的がなくなっただけで、選手個人まで「消化」しているわけではありません。
シーズン終盤はスタメンを見ると面白い
優勝やCS争いが終わったチームを見るときは、まずスタメンを確認してみてください。
「この選手、最近まで二軍にいたな」
「いつもの4番が休んでいる」
「若手が初めて1番を打っている」
といった変化が見つかるはずです。
そして、その選手がなぜ起用されているのか考えてみる。
タイトル争いなのか。
来季へのテストなのか。
ポストシーズンへの調整なのか。
そう考えると、「消化試合」という言葉だけでは見えなかった試合の意味が分かってきます。
順位が決まってからのプロ野球も、意外と見どころは多いのです。


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