プロ野球では、ときどき監督が審判に退場を宣告されることがあります。
激しい抗議。
判定をめぐるトラブル。
そして審判から退場宣告。
ここまではテレビ中継でもよく分かります。
でも、監督がベンチからいなくなったあと、
「残りの試合は誰が監督をやるの?」
と気になったことはないでしょうか。
投手交代は誰が決めるのか。
代打は誰が出すのか。
リクエストはどうするのか。
さらに、
退場した監督は翌日の試合にも出られないのか?
という疑問もあります。
意外と知らない「監督退場後のベンチ」を見ていきます。
監督が退場しても試合は続く
まず大前提として、監督が退場したからといって試合終了にはなりません。
監督本人はその試合から退場しますが、チームはそのまま試合を続けます。
当然、
投手交代
代打
代走
守備交代
などの采配も必要です。
そこで監督に代わって、ベンチにいるコーチなどが指揮を執ることになります。
つまり、
「監督が退場したので、あとは選手だけで勝手に試合をする」
わけではありません。
誰が監督の代わりになる?
一般的には、ヘッドコーチなど監督に近い立場のコーチが中心となって指揮を執ります。
ただし、
「監督が退場したら必ずヘッドコーチ」
とだけ覚える必要はありません。
チームのコーチ編成はそれぞれ違います。
ヘッドコーチという役職自体を置いていないチームもあります。
そのため実際には、チーム内で監督に代わって指揮を執る人物が決まります。
監督がいなくなっても、ベンチには複数のコーチが残っています。
その中で試合を続けるわけです。
代打や投手交代も代理で判断する
監督が退場したあとでも試合は普通に進みます。
当然、
「ここで代打を出したい」
「投手を交代したい」
「守備固めを入れたい」
という場面もやってきます。
こうした判断も、監督に代わって指揮を執る側が行います。
つまり監督退場後は、
残りのイニングだけ、実質的に別の人物が采配を振るう
ことになります。
接戦の序盤で監督が退場すると、その後の采配が試合結果に大きく影響することもありそうです。
退場した監督はベンチに残れる?
退場を宣告された以上、そのままベンチに座って采配を続けることはできません。
「表向きだけ退場して、ベンチの奥から指示を出す」
というものでもありません。
退場処分は、その試合における監督としての活動から離れることを意味します。
そのため退場後は、残った首脳陣で試合を進める必要があります。
退場した監督が電話で指示を出したら?
ここで思いつくのが、
「ベンチにいられないだけなら、裏から電話やメッセージで指示すればいいのでは?」
という方法です。
しかし、それでは退場処分の意味がありません。
退場した人物が引き続き実質的な指揮を執ることを前提とした制度ではありません。
その試合については、残ったスタッフが対応することになります。
監督が退場するのはどんなとき?
監督退場というと、
「審判に怒鳴ったら退場」
というイメージがあります。
もちろん暴言などが問題になるケースもありますが、それだけではありません。
たとえば2026年6月10日のソフトバンク-阪神戦では、阪神の藤川球児監督が退場処分を受けました。
きっかけはリクエストです。
盗塁の判定について阪神側がリクエストを行い、映像検証の結果は「判定通りアウト」。
その後、藤川監督が責任審判員へ異議を申し立てました。
リクエストによる映像検証後の判定への異議申し立ては認められておらず、警告後も引き下がらなかったため退場となりました。
「激怒して審判に詰め寄ったから」という単純な話ではなく、制度上認められていない異議申し立てを続けたことが理由です。
長時間の抗議でも退場になることがある
2026年6月7日のDeNA-ソフトバンク戦では、DeNAの相川亮二監督が退場になりました。
11回裏。
打者のスイングをめぐって打撃妨害ではないかと抗議。
審判から長時間の抗議は退場になる旨を伝えられましたが、その後も抗議が続きました。
そして5分が経過したため、遅延行為として退場を宣告されています。
つまり、
抗議の内容だけでなく、抗議を続ける時間
によって退場になるケースもあります。
退場したら罰金もある?
あります。
ただし、
「退場=必ず同じ金額の罰金」
という単純な仕組みではありません。
退場になったプレーについて、その後NPBから制裁が発表されることがあります。
実際、2026年の藤川監督と相川監督のケースでは、いずれもNPBから
厳重注意
制裁金10万円
が発表されました。
試合中の退場だけで終わらず、後日処分が加わることもあるわけです。
退場したら翌日の試合も出られない?
ここは勘違いしやすいところです。
退場したからといって、必ず翌日の試合も出場停止になるとは限りません。
その試合から退場することと、その後の試合への出場停止処分は別の話です。
退場の内容によっては、リーグから追加の制裁を受ける可能性があります。
一方、追加の出場停止処分がなければ、次の試合では通常どおり指揮を執るケースもあります。
そのため、
「昨日退場した監督が今日普通にベンチにいる」
ことがあっても、おかしいわけではありません。
「退場」と「出場停止」は違う
整理すると、
退場
→その試合から離れる
出場停止
→指定された試合に出場できない
という違いがあります。
もちろん退場の原因となった行為が重大なら、
退場
+
追加の出場停止
となる可能性もあります。
しかし、
退場した瞬間に自動的に翌日も休み
という意味ではありません。
選手が退場した場合はどうなる?
監督だけでなく選手も退場になることがあります。
選手の場合、その選手はその試合に戻れません。
守備についている選手が退場になれば、別の選手を入れて試合を続ける必要があります。
つまり、
「退場した選手のところだけ8人で守る」
ということにはなりません。
交代できる選手がいれば、その選手を起用します。
コーチも退場になることがある
退場処分の対象は監督や選手だけではありません。
コーチが審判への抗議などによって退場になることもあります。
もし監督とコーチが相次いで退場すれば、ベンチに残る首脳陣はさらに少なくなります。
それでも試合そのものは続きます。
普段は監督ばかりに注目しますが、こういう試合では、
「今、実際に誰がベンチで指揮を執っているのか」
を見るのも面白いところです。
監督不在で試合をする「監督代行」とは少し違う
ニュースでは、
「○○コーチが監督代行」
という言葉を見ることがあります。
たとえば監督が体調不良などで数試合ベンチに入れず、別のコーチが監督代行を務めるケースです。
これは、試合中に突然監督が退場して残ったコーチが指揮を引き継ぐケースとは少し違います。
監督が一定期間不在になる場合には、監督代行として正式に届け出られることがあります。
2026年にも、巨人では阿部慎之助監督に代わって橋上秀樹オフェンスチーフコーチが監督代行を務めることがNPBから発表されました。
つまり、
試合途中の監督退場
↓
その試合を残った首脳陣で対応
監督が試合前から不在
↓
監督代行を立てる
という違いがあります。
監督が退場した試合は「その後」に注目すると面白い
監督が審判に退場を宣告されると、その場面ばかりがニュースになります。
しかし野球として面白いのは、その後です。
誰が指揮を執るのか。
どんな投手交代をするのか。
代打をどう使うのか。
接戦なら、監督がいなくなったあとに重要な判断が何度も必要になります。
もし試合の序盤で監督が退場したら、
「ここから誰が采配するんだろう?」
という視点でベンチを見ると、いつもとは少し違った楽しみ方ができます。
そして翌日の試合。
前日に退場した監督が普通にベンチへ戻っていても不思議ではありません。
「退場」と「出場停止」は同じではない。
ここを知っておくと、退場をめぐるニュースもかなり分かりやすくなります。


コメント